かつて2005年~2009年の間にかけてタワーマンション建設のブームが起こり、その間にたくさんの数のタワーマンションが竣工されました。
約10年から15年に1回が大規模修繕工事の目安と言われている中で、今年2022年は特にタワーマンションの大規模修繕工事が行われることが予想されています。
そんな中でさまざまな種類の建物の中でも特にタワーマンションは大規模修繕工事が難しいと言われているのはご存じでしょうか。
そこで今回はタワーマンションの大規模修繕工事が難しいと言われている理由と課題について解説していきます。
目次
タワーマンションの大規模修繕工事はどうやって進める?
タワーマンションも大規模修繕工事の進め方は他の建物と変わりません。
管理組合の体制づくりから建物診断、計画の作成、施工会社の選定、着工、竣工までの一連の流れを行っていきます。
ですが、高層の建物であることから足場は組み立て式のものではなく屋上から吊り下げて作業を行うゴンドラを使用したり、柱を設置して行う移動昇降式足場を使用したりします。
また、これらを使用することにより天候に応じて大規模修繕工事の工期が大きく前後する可能性や風や飛散、落下に対する対策も徹底する必要があります。
大規模修繕工事の中でもタワーマンションが難しいと言われている理由
タワーマンションの大規模修繕工事は足場の組み方や、万が一の事態に対する対策等でも他の建物との違いはありますが、その他に以下のような理由で工事が難しいと言われています。
タワーマンションの大規模修繕工事が難しい理由 ① 施工業者の事例が少ない
他の建物に比べてタワーマンションの大規模修繕工事を行ったことのある施工業者は少なく、限られた業者に収集してしまっているのが現状です。
理由としては、工事のノウハウや工法がまだまだ確率されていない部分があることが挙げられます。
他の建物の工事は行っているが、タワーマンションの大規模修繕工事は現状行っていないという施工会社も少なくありません。
タワーマンションの大規模修繕工事が難しい理由 ② デザイン性が高いものが多い
近年デザイン性に長けたタワーマンションも多く竣工されている中で大規模修繕工事はそのデザインの合わせた施工方法を取り入れなければならず、ほとんどオーダーメイドのような形になります。
また、タワーマンションの中でも高層階、中層階、低層階それぞれでデザインが変わる場合も多く、それぞれに合わせた施工を行う必要がある為、その分工期が伸びたり費用が加算されたりする可能性があります。
タワーマンションの大規模修繕工事が難しい理由 ③ 合意形成が難しい
タワーマンションは他の建物と比べて戸数が多く、1棟につき100戸以上構えているタワーマンションをはじめとして、多いと1,000戸を超える数を構えているところも少なくありません。
数が多いことに加え、その中でも住居としてだけではなく、収益物件として保有している人もいます。
大規模修繕工事によって工期の間、使用に支障が出てしまうことを懸念して合意形成を拒否する人がいることも難しいと言われる要因の一つです。
また、低層階と高層階とで所得や価値観に違いが出ることも合意形成が難しいとされる理由の一つです。
タワーマンションの大規模修繕工事が難しい理由 ④ 工事費用が割高になる
タワーマンションは他の建物と比べて設備投資などが多い分費用が割高になり、場合によっては修繕積立金が不足してしまうこともあります。
また、他の建物と比べて工期が長くなることや、周期の関係で大規模修繕工事のニーズが増えていることによって費用の増大が生じることもあります。
タワーマンションの大規模修繕工事が難しい理由 ⑤ 建物診断が難しい
タワーマンションは他の建物と比べて特に高層階の外壁などの診断が難しく、目視や望遠鏡などを用いても劣化状況を確認することが難しいとされています。
昨今ドローンを用いた建物診断も行われてはいますが、肉眼での診断ではないので判断が難しく、実際に事故が発生してしまっているケースもあります。
タワーマンションの大規模修繕工事ブームを迎えるにあたって
現在、ブーム中に竣工されたタワーマンションの大規模修繕工事のタイミングですが、その後新たに建てられたタワーマンションの大規模修繕工事のタイミングが2025年頃から始まります。
さまざまな問題や課題が挙げられているタワーマンションの大規模修繕工事ではありますが、建物の寿命を延ばすためには必要不可欠なものになります。
また、タワーマンションの大規模修繕工事の事例を増やすことで今後よりスムーズに行うことができるようにもなってきます。
問題点が分かっている今のうちに課題を解消し、工事のタイミングになったときに頭をかけないように取り組んでいきましょう。