大規模修繕工事の「修繕」と「改修」の違いとは?改善工事を行うメリット・デメリットについても解説

マンションを安全に保ち、長く住み続けるためには必須となる「大規模修繕工事」ですが、その計画を進めていくと「改修」といった言葉を聞く機会があるかと思います。

「改修」は修繕工事と同時期に行うことが多く、建物の利便性や機能性、資産価値を高く維持していくためには必要不可欠な工事です。

今回は大規模修繕工事の「修繕」と「改修」の違いについてご紹介してくと共に、改修工事を行うメリット・デメリットについても解説いたします。

大規模修繕工事とは?

大規模修繕工事とは、マンションの経年劣化にあわせて実施される、修理や修復を行うための修繕工事のことです。

分譲マンションにおいては、管理組合が主体となり建物の設備や外壁等の劣化による不具合の発生を抑止するため国土交通省が提示する長期修繕計画ガイドラインに基づき「12年に1度」を目安として計画修繕を行います。

工事期間は一般的に3ヶ月~6ヶ月ほどで、大きい建物になると1年以上の工事期間を要するなど、建物の規模によって異なります。

主な工事内容は下地・タイル補修工事、外壁補修工事、シーリング工事、防水工事等があります。

大規模修繕工事の定義や必要性についてはこちらで詳しく解説しています!

大規模修繕工事の「修繕」と「改修」の違いって何?

大規模修繕工事を行う際に「改修工事」も同時に行うことがあります。

この「修繕」と「改修」では一体何が違うのか?その違いについて説明いたします。

「修繕」とは

「修繕」とは、太陽の日射しや紫外線、雨風等の外的要因によって経年劣化し不具合が生じた建物の設備や外壁等に対して行うものです。
具体的にはヒビ割れや汚れ、錆、水漏れといった問題部分の修理や補修を行い、それらの性能や機能を支障なく利用できる状態にまで回復させる工事で、「リフォーム」とも呼ばれています。

修繕を実施する期間は「12年に1度」という基準がありますが、マンションの規模や劣化状態によってその年数は異なります。

ちなみに、修繕工事に似て「補修工事」というものがありますが、「補修」は劣化や不具合が発生した際にその都度行う工事として区別されています。

「改修」とは

「改修」とは、社会の変化や時代の変化に合わせてマンションの性能や機能を建設当初よりもグレードアップさせ、住環境や資産価値を向上させるために行う工事のことで「リノベーション」とも言われています。

例えば、災害時に備えて建物の耐久・耐震改修工事を行ったり、断熱性を高め快適な住環境を叶える改修工事、車イスやベビーカーを利用する方々のためのベリアフリー改修工事、警備システムの強化などが挙げられます。

このように、時代やライフスタイルの変化に柔軟に対応していける改修工事は、築年数の古い建物でも入居者が住みやすく、資産価値を高く維持できる効果を持っています。
また賃貸マンションでは経年劣化による賃料の低下、空室の発生なども回避することもできます。

大規模修繕工事に「改修工事」を行うメリット・デメリット

ここからは、大規模修繕工事の際に「改修工事」を行うメリットとデメリットについてそれぞれご紹介します。

改修工事を行う3つのメリット

・安全性の向上

改修工事を行うことで、災害時に備えて建物の耐久性を高めることができます。

経年によってマンションの性能や機能が低下していくことへの不安が解消され、突然の大地震にも安心安全な“長く住み続けられるおうち”を叶えます。

・機能性、利便性の向上

時代やライフスタイルの変化に合わせて、バリアフリー化や省エネ化、セキュリティ強化など、機能性と利便性を向上させることができます。

さらに、コロナ禍で需要の高まった宅配ボックスの設置や共用のコワーキングスペース、倉庫など、新しい設備を付け加えることで住民の住心地を良くし快適性を高めていくことも可能です。

・テナントや入居者募集がしやすい、資産価値も高く維持できる

マンションやオフィスビルの改修工事を行うことで利便性や機能性が向上します。

いつの時代も便利で綺麗な建物を借りたい、買いたいと考える方々が多く、外装や内装、さらにデザインも利用者のニーズに合う建物へとリノベーションしていくことで人気物件となるでしょう。

当然、社会や時代の変化に合わせた利便性の高い建物というのは、その資産価値も衰える事なく向上していくため、新築当時の価値を維持することができます。

「修繕工事」のメリットについてはこちらで詳しく解説しています!

改修工事を行うデメリット

・修繕工事に比べ費用がかかる

修繕工事は建物の耐震性や機能面をグレードアップさせるものではなく、経年劣化による不具合を回復させる目的としていますが、改修工事はいわば「リノベーション」です。

例えばバリアフリーのための段差解消やスロープ改修、エレベーターの設置、自動ドアへの変更など快適に生活するために行うのが改修工事ですので、修繕工事に比べれば費用が高くなります。

「修繕」「改修」の違いは“守り”か“攻め”か|ライフスタイルの変化に合わせて改修工事を行うのがおすすめ!

「修繕」「改修」の違いについてまとめると、「修繕」は建物の劣化や不具合を補修していく“守勢的な工事”で、「改修」は時代やライフスタイルの変化に合わせて行う“攻勢的な工事”といえるでしょう。

また改修工事にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、耐震性や利便性、機能性等をグレードアップさせ、住環境や資産価値を高く維持していくためには必要不可欠な工事になります。

この先も時代の流れに乗り遅れることのないよう、大規模修繕工事だけを行うのではなく「改修工事」を組み込んで実施していくことをおすすめいたします。