大規模修繕工事にかかる費用の目安とは?費用を抑える方法、節約のコツについてもご紹介

マンション購入を検討しているなら知っておきたい『大規模修繕工事』

新築マンションでも、太陽の日射しと紫外線、雨風にさらされ続けていくうちに建物や設備が経年劣化していくもの。

老朽化を抑え、住民や近隣の方々の安全を守り、さらにマンション自体の資産価値を維持するためにも12年周期を目安に定期的に大規模修繕工事を実施していくことが大切になります。

本記事では、大規模修繕工事にかかる費用の目安についてご紹介すると共に、費用を抑えるためのコツについてもご紹介いたします。

大規模修繕工事の工事内容

大規模修繕工事の工事期間は建物の規模によって異なりますが一般的には3ヵ月~6ヵ月ほどで、大きい建物になると1年以上の工事期間を要します。

工事にかかる費用の目安について見ていく前に、まずは大規模修繕の主な工事内容について簡単に紹介していきます。

事前調査

マンションの大規模修繕工事を行う際、建物に生じている劣化や不具合など修繕状況を診断するため事前調査を行います。

設計事務所や建物診断会社、建築の専門家であるコンサルタントなどにマンションの診断を依頼する方法が一般的です。

仮設工事

仮設工事は大規模修繕工事を行うために足場を組んだり、工事で使用する電気や水、排水処理、仮設トイレ、各所の養生など工事現場周辺の仮設設置工事のことです。

仮設工事は施工者や住民、そして近隣の方々の安全を守るだけでなく、工事品質の確保の観点からもとても重要な工事です。

下地・タイル補修工事

下地・タイル補修工事では、屋上や壁などのヒビ割れ、タイルの貼替えなど修繕する工事です。

下地補修は塗装作業の仕上がりを左右し、さらに雨水の侵入原因ともなり得るため丁寧な補修作業が必要です。タイル補修は主に劣化による落下防止を抑止する工事となります。

いずれも建物の耐久性を維持するために必要不可欠な修繕工事です。

シーリング工事

シーリング工事は、外壁やサッシ周りなどの隙間に詰め物をして水漏れを防いだり目地に封をしたりと、マンションの防水工事のことを指します。

シーリングは気温や紫外線、地震など建物の変化に合わせて柔軟に伸縮するため、こまめな点検を行い修繕しておくことで防水性を保持することができます。

「シーリング工事」についてはこちらで詳しく解説しています!

外壁補修工事

外壁補修工事はマンションを汚れや太陽の日射し、紫外線、雨風などから守り美観を整えるために行う工事です。

主にマンションの外壁や共用廊下、階段、バルコニー、玄関ドア、手すりなどの錆や汚れを除去し、コーティング、塗装材を使って仕上げをしていきます。

工事が終わると新築のような外観になるため、資産価値の維持にも繋がります。

防水工事

防水工事は、雨水が屋上や外壁、廊下、バルコニーなどからコンクリート内部へ侵入するのを防ぐための工事です。

特に屋上やバルコニーは、劣化が進行していくと居室内への浸水に繋がりやすいため、定期的にメンテナンスしておくことで建物の安全を保つことができます。

大規模修繕工事にかかる費用の目安|一戸あたり75万円~100万円前後

大規模修繕工事にかかる費用の目安は、建物の形状や仕上げ材などグレードによって費用は異なります。

国土交通省が2018年に実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、直近3年間に行われた大規模修繕工事944事例(134社のサンプル)を元に以下のような集計結果を発表しています。

大規模修繕工事の一戸あたりにかかった費用で最も多かったのは全体の30.6%が回答した75万円~100万円、次いで100万円~125万円(24.7%)となり、1m2あたりの工事費用は10,000円~15,000円(41.1%)、次いで5,000円~10,000円(31.8%)という結果となりました。

つまり、マンション大規模修繕工事の一回の費用目安は、“一戸あたり100万円前後”ということになります。

また例として、総戸数が100戸のマンションであれば約1億円という費用が大規模修繕工事費用の目安となります。ちなみに小規模マンションであれば一戸あたりの費用が割高になる傾向にあるので、理解しておきましょう。

参考:マンション大規模修繕工事に関する実態調査について|国土交通省

「修繕積立金」の費用の目安

大規模修繕工事費用は高額であるため、「修繕積立金」として住民から毎月一定の金額を積み立てていく必要があります。

その費用の目安は、2018年に国土交通省が調査した修繕積立金の結果によると平均金額:11,243円となっています。

しかし2013年以降から比較しても平均金額が上昇傾向であることに加え、「積立金額が計画に比べて不足している」と回答するマンションが34.8%も存在していることから、今後も平均金額は下がることなく上がっていく可能性があるといえます。

参考:平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状|国土交通省

大規模修繕工事費用は節約できる?費用を抑えるコツを紹介

大規模修繕工事というのは、大切なマンションを長くそして安全に保つため必要不可欠な工事ですので、費用の云々で考えるより「質の高い丁寧な工事を適正価格で実施」してもらうことが重要となります。

とはいえ工事には数千万~数億円という大きな金額が動くため、抑えられる費用があるなら抑えたいところですよね。

ここでは大規模修繕工事の節約方法、費用を抑えるコツについてご紹介します。

国や自治体の「補助金」「助成金」を活用する

マンションの大規模修繕工事では、“バリアフリー化” “省エネ対策” “維持保全計画の策定”といった『長期優良住宅化』の基準を満たしている場合に限り、国や自治体が設ける補助金や助成金の支援を受けることができます。

ただし、マンションの所在する自治体ごとに条件や減税内容、補助金、助成金の費用は異なるため、事前に確認しておきましょう。

施工会社は“相見積もり”を行い、選定後も密にコンタクトを取り続ける

施工会社は複数社で相見積もりを行い、自身の大規模修繕工事にかかる費用が適正価格なのか判断しましょう。

相見積もりを行うことで、費用を大幅に節約できるケースがあります。

また施工会社側に相見積もりをしていることを伝えると、大規模修繕工事の相場費用からかけ離れた見積もり額を提示されることもなくなるでしょう。

そして、施工会社を選定した後も費用を抑えるためには注意が必要です。

例えば仮設工事において、足場などの工法次第では費用を抑えられる可能性があるのです。そのため、工事を全て丸投げするのではなく、最初から最後まで施工会社と密にコンタクトを取って進めるようにしましょう。

最後に、信頼できる施工会社を見つけるには「施工実績」や「評判(口コミ)調査」も重要ですので、下調べを入念に行い、大規模修繕工事の費用を適正価格で実施しましょう。