マンションの大規模修繕工事が一区切りついたら、足場を解体する前に『竣工検査』を実施します。
竣工検査は当初の説明通りに工事が行われたかどうか、外壁塗装や防水工事などに不備や不具合はないかなどの最終チェックを行うための重要な検査です。
竣工検査の中で不良箇所が発見できれば無償で対応してもらえますが、万が一、竣工検査後にトラブルが発覚した場合には管理組合側の負担が強いられる可能性もあるので、決して手を抜かず慎重に検査に挑む必要あります。
では、大規模修繕完了後に行う竣工検査にはどのようなことに注意し確認すれば良いのでしょうか。今回は竣工検査で見る項目やポイントについて解説いたします。
目次
大規模修繕工事で実施する竣工検査とは?
大規模修繕工事で行う検査には、工事前に資材をチェックする「資材検査」、工事の工程ごとに行う「工程検査」、工事の区切りごとに行う「中間検査」などがありますが、最も重要な検査は大規模修繕工事終了後に行う「竣工(しゅんこう)検査」です。
竣工検査は、大規模修繕工事を実施した箇所に不具合はないか、契約通りに行われたかどうか施工責任者と管理組合とで確認する検査です。
しかし近年では人手不足や工期の短さにより施工品質の低下が懸念されており、専門家に依頼してプロの視点から竣工検査をチェックする組合も増えてきています。
また、竣工検査のタイミングは万が一の不具合に備えてすぐ補修することができるよう、足場を解体する前に実施されます。
そして実際に補修を行う際は、トラブルを防ぐ為に口約束ではなく、修繕箇所に対し書面化しておくことが大切です。
竣工検査はどこを見る?確認する項目とポイントを紹介
竣工検査を行う際に注意して見ておきたいポイントは以下の項目です。
1.契約通りの内容で適切に作業が行われたのか
大規模修繕工事の対象箇所は全て実行されているか、工法や材料は予定通りの内容で行われているのかを確認します。
2.施工不備のチェック
防水シートや外壁塗装、タイル目地などにムラがないかなどを確認します。
3.汚れのチェック
大規模修繕工事の仕上がり箇所に汚れやゴミの付着がないか、それ以外の部分にも汚れが広がっていないかなども確認していきます。
4.大規模修繕工事の為に一時的に撤去したものが元通りに置かれているか
施工の都合上、一時撤去した住民の所有物などが、施工前の状態に戻っているかを確認します。
これらの他にもベランダや廊下といった共有部分に不備がないかどうか、住民への確認を依頼しておくとスムーズです。
その他気になる点があれば積極的に質問し、どんどん指摘していきましょう。
また中には足場の解体前に高所部分の漏れがないよう事前に施工業者に確認を検査を実施することもあるので、チェックしたり、日程を決めておくと安心です。
不安なら、大規模修繕工事の専門家(第三者)に竣工検査の立ち会いを依頼するも良し!
実際に竣工検査に立ち会ってみても、契約書に記載された材料や手法で行われているか分からない、施工の良し悪しが判断できないなど、管理組合にも悩みや不安がありますよね。
手抜き工事が行われていても検査のタイミングで見抜けなければ重大な事故を招く恐れがあり、後々補修するにしても修繕積立金から切り崩さなければならず、住民の負担も増えていくものです。
そんな事態を防ぐ為に、大規模修繕工事の専門家に竣工検査の立ち会いを依頼する手段があります。
専門業者に依頼する以上、検査の立ち会い費用は発生してしまいますが専門家の視点から厳密に不備を確認してもらえるというメリットは大きいはずです。
またその場合、施工会社との関連性のある立ち会い業者だと手抜き工事や整備不良があった場合に身内をかばって指摘してくれない可能性も考えられます。
その為、大規模修繕工事の施工会社と全く関係のない第三者といえる業者へ依頼するようにしましょう。
竣工書類は保証書を重点的に確認する
竣工検査を終えたら、最後に大規模修繕の関連書類を施工業者から受け取ります。
竣工書類には以下のようなものがあります。
- 工事完了届
- 保証書
- 外壁補修図面
- 施工計画書
- 施工写真
- 変更仕様書
- アフターメンテナンス計画書
- 使用材料に関する資料
- 打ち合わせ議事録
- 各戸の補修確認書控
- 使用材料に関する資料
全て重要な書類ですが、中でも保証書は保証内容や保証期間(1年、3年、5年など)が示されており、後に不具合が発生した場合でもこの保証書があることで無償で補修してもらうことができるため、内容を確認した上で金庫などに大事に保管しておきましょう。
大規模修繕工事完了後の竣工検査も抜かりなく、慎重に!
今回は大規模修繕工事完了後に実施される竣工検査について解説しました。
竣工検査は大規模修繕工事に不備がなかったかなど施工業者と共にチェックしていく大事な検査です。
また第三者である業者に竣工検査の立ち会いを依頼することでプロの視点から厳密なる確認をしてもらえるため、おすすめです。
ただ実際に第三者を立てて確認しても、豪雨の影響で雨漏りが発生したりと、大規模修繕直後には分からなかった不良箇所が時間の経過によって顕在化してくる場合もあります。
保証内容は施工業者によって異なりますが、数年に一度のペースで行われるアフター点検では保証期間内であれば無償で修繕してもらえるため、契約書や保証書は事前にしっかりと確認しておきましょう。