大規模修繕工事は準備から着工、竣工まで長い期間を要する重大な工事です。
期間を有し、さらにはさまざまな工程が必要となってくるため、その内容をしっかりと把握しておく必要があります。
そこで本記事では大規模修繕工事の準備から竣工までの一般的な進め方を解説していきます。
大規模修繕工事は一般的にどのくらいの期間が必要なの?
大規模修繕工事は工事の計画の立案から工事が完了するまでに約2年~3年の期間を有します。
大規模修繕工事が必要な周期が大体12年に一度と言われている為、暦が一周するごとにこの工事が必要となってきます。
また、この大規模修繕工事は計画~工事の着工までがまず1年~2年、その後工事の実施となる為、その期間のほとんどが準備期間と言っても過言ではありません。
さらに工事の期間は建物の規模によって大きく異なりますが、一般的には3ヵ月~6ヵ月、規模が大きい建物であれば1年以上を要する場合もあります。
大規模修繕工事の進め方を細かく解説
大規模修繕工事の進め方 ① 管理組合の体制づくり
まず大規模修繕工事を行う上で管理組合内での体制づくりを行います。
理事会は基本的に通常の組合運営業務も並行して行っていく必要があり、業務量過多になってしまう可能性がある為、下部組織として「修繕委員会」という専門員会を設置します。
そこでは大規模修繕工事の進め方やそれにかかわる業務を担当し、工事内容の検討から調査への立ち合い、説明会開催、その他打ち合わせや進捗管理などを行っていきます。
最終的な方向性の決定は理事会に委ねられるのですが、それ以外の大規模修繕工事に関わってくる業務はすべて修繕委員会が行っていくのです。
この組織の設置がまず大規模修繕工事を進めるにあたる第一歩となります。
この組織の立ち上げにあたっては大規模修繕工事に協力的な人を募るのが吉です。
また、専門的な知識を持ち合わせていたり、過去に大規模修繕工事に関わったことがあったりする人がいれば積極的に声をかけてみるのが良いでしょう。
大規模修繕工事の進め方 ② 発注形式の決定
大規模修繕工事は専門的知識や専門的視点が求められるため、それを専門としている専門家と契約を行う必要があります。
発注形式には管理組合と発注先との2社間で契約を行う「責任施工方式」と、管理組合と発注先とはまた別に間にコンサルタントが加わる「設計管理方式」、建物の管理会社にすべてを委託する「管理会社委託方式」の3種類が存在します。
それぞれメリットでデメリットが存在するため、優先する事項を確認したうえでその大規模修繕工事に合った発注形式を決めましょう。
大規模修繕工事の進め方 ③ 建物診断、アンケートを行う
大規模修繕工事の発注形式を決めたら次は調査員が実際に建物に足を運んで建物の劣化状況や不具合などを調べる建物診断を行います。
目視やテストハンマー、機械調査等で調査を行い、この調査結果が大規模修繕工事の進め方を決めるベースとなります。
さらにその建物にテナントや住民がいる場合にはアンケートを実施します。
このアンケートは建物診断だけでは把握することのできない、その建物で生活している人だからこそ把握することのできる不具合などを集めることができるのでとても重要な項目となってきます。
大規模修繕工事の進め方 ④ 大規模修繕工事の計画を立てる
建物診断とアンケートで把握した建物の現状をもとに大規模修繕工事を行う時期や工事の内容、進め方、予算を決めていきます。
この工事では劣化箇所の修繕や不具合の改善を行うのは勿論のこと、利便性向上のために手すりなどのバリアフリーや自動ドア、オートロックなどの設備を設置することもあります。建物診断の結果とアンケートで集められた声に答えられるように、かつ提示されている予算に合わせて工事の内容や進め方などを決めていきましょう。
大規模修繕工事の進め方 ⑤ 施工会社の選定
工事の内容や進め方、予算が決まったら今回の大規模修繕工事にマッチする施工会社の選定を行います。
この選定は1社の見積もりだけで決定するのではなく、いくつかの会社から見積もりをもらって比較検討をするのがおすすめです。
まずは見積もりを受け取っていくつかの会社に絞り込み、その後施工会社に工事内容に関するヒアリングを行うプレゼンテーションの場を設けて再集積な比較、決定を行いましょう。
また、そのプレゼンテーションの場では今回の大規模修繕工事の進め方や費用以外にもこれまでの実績や経営状況などもしっかりと確認し、選定することで後悔の無い大規模修繕工事につなげることができます。
大規模修繕工事の進め方 ⑥ 総会決議を行う
大規模修繕工事を行う会社や予算、進め方など全体が固まったら組合員に向けての総会を開催します。
ここでは大規模修繕工事を行う目的から工事内容、期間やお願いする会社、費用など工事に関する計画を組合員の人に報告し、承認を得る必要があります。
この承認を得ることで初めて大規模修繕工事の発注を行うことができるので、組合員にしっかりと工事の理解を得ることができるように準備、説明を行いましょう。
大規模修繕工事の進め方 ⑦ 工事説明会を行う
総会で組合員の承認を得ることができたら施工会社との契約を結び、着工の1ヵ月前を目安に住民や組合員に向けて工事の内容や注意点などを伝える説明会を行います。
説明会ではこちらからの発信だけではなく、住民や組合員からの声を施工会社などへしっかりと共有し、お互いが工事期間も気持ちよく生活できるように心がけましょう。
大規模修繕工事の進め方 ⑧ 着工
大規模修繕工事の準備が整ったらいよいよ着工です。
工事の着工から竣工までは大体3ヵ月~6ヵ月、長いもので1年以上かかります。
予め住民に説明は行っているものの、長きにわたる工事はストレスに感じることも多いです。
これを緩和するためにも住民に向けた広報活動は必須です。大規模修繕工事おける注意事項やお知らせは敷地内の掲示板やチラシの配布を有効的に利用して信頼関係の構築につなげましょう。
大規模修繕工事の進め方 ⑨ 竣工
工事が終盤に差し掛かったタイミングで竣工検査を行い、足場のかかった状態で施工箇所の確認を行います。
この竣工検査を終えると晴れて大規模修繕工事は終了です。協力してくれた住民に対し、このタイミングで改めて感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう。
大規模修繕工事の進め方をしっかりと理解して工事の成功につなげよう
今回解説した通り、大規模修繕工事には長い月日と莫大な費用、さらには多くの周囲の人の協力が必要不可欠となります。
これらをクリアして初めて大規模修繕工事を安全かつ正確に行うことができる為、一つの抜けも無いように慎重に取り組むことが必要です。
もし不安になった場合はこの記事を今一度読み直して今以上に理解を深めるように心がけましょう。