アンケートが大規模修繕工事を成功に導く | 工事前アンケートの目的や重要性を解説

大規模修繕工事は約12年に一度行われ、大体の建物が工事の1年~2年前に準備を行います。
その準備の中でも住民へのアンケートはよりよい建物空間の実現にとても重要になってくるのです。

本記事では大規模修繕工事におけるアンケートの目的やその重要性について解説していきます。

大規模修繕工事前のアンケートを行う理由


大規模修繕工事を行う前の準備の中に「建物診断」というものがあります。
この建物診断では仕上げ材の浮きや建物のひび割れ、防水状況、鉄筋の破損などを専門家が目視やテストハンマーを用いて行うのですが、
この診断は主に外観や共用部などの診断が中心となる為、住人が生活している各部屋内部の状況までは把握することができません。
そこで住人に対して行うアンケートが大きな力を発揮するのです。

大規模修繕工事前のアンケートでは各部屋の状況を把握できると同時に、普段その建物で生活している住人だからこそ知りえている不具合なども見つけることができる可能性があります。
また、大規模修繕工事は単に建物の所有者と施工会社だけが行うものではありません。

普段建物で生活している住人の理解や協力を得て初めて成立するものなので、住人に工事に対しての興味関心、理解を持ってもらうためにもアンケートの実施が必要になるのです。
アンケートの結果を踏まえたうえでの大規模修繕工事の実施を行った方が住人との信頼関係を気付けると同時に住人にとっても良い工事になる為、アンケートは必ず実施するべきものです。

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大規模修繕工事前のアンケートに必要な項目

大規模修繕工事前のアンケートにおいて確認するべきことがいくつか挙げられます。
その建物特有の特徴などがある場合はそこも含めてアンケートするべきですが、基本的に以下のようなアンケート内容は必須と考えて良いでしょう。

<室内におけるアンケート>

  • 水漏れの有無、該当箇所
  • 排水の具合
  • 結露の発生しやすさ
  • 風の通りや換気の具合
  • 異臭の有無、該当箇所
  • 玄関扉やサッシなどの金属箇所の不具合
  • 熱のこもりやすさ
  • インターネット接続の不具合
  • テレビ視聴の不具合
  • リフォームの有無
  • ベランダの塗装ハゲや破損

<共用部のアンケート>

  • 廊下や階段、エントランスの水漏れ
  • エレベーターの不具合
  • 駐車場や駐輪場の不具合

その他にもバルコニーの不具合や設備関係の不具合など、必要だと考える項目を設けてアンケートを作成しましょう。

大規模修繕工事前のアンケートの作成ポイント4つ


大規模修繕工事のアンケートではいくつか作成するにあたってのポイントがあります。
以下のようなポイントを押さえて作成することによって建物診断だけでは発見することのできない建物の不具合や劣化を把握することができます。

大規模修繕工事前のアンケート作成のポイント ① 誰でも答えやすい簡単なアンケートを作成する

アンケートは老若男女問わずだれでも回答しやすいものにすることが重要です。
回答しにくいアンケートにしてしまうと、住人が答えるのに億劫になってしまい、正確な結果を得ることができなくなってしまう可能性もあります。
その為、アンケートは主に選びやすい選択肢を設けておくと住人の回答のしやすさに寄り添ったアンケートになります。

大規模修繕工事前のアンケート作成のポイント ② 具体的な不具合箇所が分かるようなアンケートを作成する

先程、誰しもが分かりやすいアンケートを作成するべきとお伝えしましたが、ただ簡単なアンケートというだけではより具体的な不具合を把握できない可能性もあります。
その為、より詳しく不具合箇所を引き出せるようなアンケート作成が必要となってきます。
例えば、以下のようなアンケートが有効的です。

室内にひび割れはあるか  ある・なし
「ある」と回答した方
・ひび割れを発見した場所 天井・壁・床
・ひび割れを発見した時期 現在・過去(いつ頃:     )

 

このように選択肢と記述を織り交ぜたアンケートにすることで該当する項目に不具合を感じている住人がより具体的にかつ分かりやすく記述できるようになります。
アンケートを出した側もパッと見て理解しやすいように作成するのがポイントです。

大規模修繕工事前のアンケート作成のポイント ③ 記入箇所は回答例を入れておく

大規模修繕工事前のアンケートは選択肢だけでの調査ではより具体的な不具合を把握しきれません。
ですが、むやみやたらに記入欄を設けたとしても住人は何を書けば良いのか分かりません。その為、記入が必要な欄には予め回答例を設けておくことでそれを参考にして住人が回答しやすくなります。
例えば、以下のような記入例が効果的です。

・過去のリフォーム歴 「例:2018年8月頃にキッチン部分の壁の貼り替え」

 

上記のように記入例を設けておくだけで住人はアンケートにより回答しやすくなるのでより具体的な不具合を把握することができます。

大規模修繕工事前のアンケート作成のポイント ④ 専門用語には予め解説をつけておく

大規模修繕工事前のアンケートにおいて一般的な人が知らない専門用語が出る可能性もあります。
ですがその専門用語をただ記入するだけだと住人はその内容を理解することができず自分自身で調べなければいけない手間が増えたり、アンケートの回答率に支障が出たりする可能性もあります。
前提としてなるべく専門用語は出さないことが好ましいですが、もし必要な場合は予め解説をつけておくことが大事になってきます。

大規模修繕においてアンケートは工事の成功と失敗を左右する


大規模修繕工事前のアンケートは住人目線の具体的な不具合を把握するうえでとても重要になってきます。
その為、アンケートの回答のしやすさなど、少しでも住人に寄り添ったアンケートを作ることが大規模修繕工事の成功は勿論のこと、住人との信頼関係の構築にも大きく繋がります。
ただのアンケートと考えずに大規模修繕工事前のアンケートには一層の力を入れて取り組みましょう。