マンションの大規模修繕工事は建物の損傷や劣化状況に合わせて修繕する工事ですので、外観も内観もキレイな状態で引渡しされるのが普通です。
しかし、施工業者との引渡処理を終えたものの、建物に何かしらの不良箇所が発覚するという事態が度々起こっています。
中でも「漏水」は修繕工事完了後に発覚するトラブルの中で最も多い不具合とされており、防水工事の耐用年数は10年~20年程度ですので、引渡し後1、2年で漏水する場合は施工不良が考えられるのです。
不良箇所が見つかった場合、保証期間内であれば施工会社に無償で対応してもらうことができますが、保証期間が過ぎている場合には数百万~数千万円という多額の修繕積立金を損失することになってしまうでしょう。
そこで今回は、マンションの大規模修繕工事完了後に発生しやすいトラブル3選とその原因、対策方法について解説いたします。
目次
要注意!マンション大規模修繕完了後、すぐにトラブルが起こることもある
大規模修繕工事には数千万~数億円という多額の費用がかかり、その耐久性は12年を目安としています。
その為、本来であれば修繕工事完了後にトラブルが発生するような事態はあってはなりません。
しかしながら、外観がキレイに仕上がっていたとしても下地処理や補修、洗浄などの甘さから雨漏りやひび割れといった劣化症状が再発してしまう事態が少なからず発生しています。
トラブルが起こった際は施工会社へ連絡することになると思いますが、施工会社が設ける修繕工事の保証期間は短期の場合が多く、引渡しから数年後にトラブルが発生してしまうと、追加の修繕工事費用がかかるため、管理会社や住民の負担になってしまうので注意が必要です。
では実際にマンションの修繕工事完了後に発生しやすいトラブル箇所を3つご紹介します。
マンションの大規模修繕工事完了後に発生しやすいトラブル3選とその原因
大規模修繕では、外壁塗装や屋上の防水工事、各所設備、階段、バルコニーといった共有部分まで、マンション全体を対象にそれぞれ劣化症状に合わせた修繕工事を行っており、塗装や防水、補修工事の種類もそれぞれ異なっています。
その為、処理が不十分だったり各箇所の点検を怠っていたりすると、引渡し後すぐにも関わらずトラブルが発生してしまうのです。具体的なトラブル内容は以下の項目です。
トラブル①漏水(雨漏り)
マンションの修繕工事完了後に起こりやすいトラブルとして最も多いのが「漏水(雨漏り)」です。
修繕工事では屋上の防水工事を実施しますが、シーリング材の挿入や防水シートの下地処理が甘いと雨水が侵入し、雨漏りが発生してしまうのです。
・下地処理が不十分
・乾燥不足
・塗膜の硬化不良
トラブル②ひび割れ
続いては、外壁塗装やタイルなどの「ひび割れ」です。
外壁補修が十分に行われていない場合、張り替えたタイルが剥がれ落ちたり、ひび割れたりするトラブルが発生してしまいます。
・下地処理が不十分
・下地と塗料の相性が悪い
・乾燥不足
・塗膜の硬化不良
トラブル③塗装剥がれ
「外壁塗装の剥がれ」もまた、下地処理が不十分であるため発生してしまうトラブルです。
外壁塗装は原則、下塗り・中塗り・上塗りといった3度の重ね塗りを行うことで十分な耐用年数を保っていますが、3度の工程の間隔が空きすぎてしまっていたり、「厚く塗れば大丈夫」と2度塗りしか行わない悪徳業者も中にはいます。
その場合は5年も経たずに塗装が剥がれてしまうでしょう。
・下塗り→中塗り、中塗り→上塗りの間隔があく
・下塗り不良
・下地処理が不十分
・下地と塗料の相性が悪い
・乾燥不足
・塗膜の硬化不良
マンションの修繕工事後にトラブル発生!?未然に防ぐ方法とは?
手間と時間、そして多額の費用をかけて大規模修繕工事を実施したのに、その修繕工事が原因でひび割れやタイル剥がれ、雨漏りなどのトラブルが再発してしまっては本末転倒ですよね。
稀に、修繕積立金不足により十分な工事ができないために、引渡し完了後の短期間の間にトラブルが発生することがありますが、最も多い原因としては悪徳施工業者による「手抜き工事」によるものです。
ここからはトラブルを未然に防ぐ方法ついて解説します。ぜひご参考ください。
実績や対応力、評判から納得できる施工会社を選定する◎
上述しましたが、大規模修繕工事後に発覚するトラブルのほとんどの原因が悪徳施工業者による「手抜き工事」によるものです。
その為、実績があり評判も良い施工会社を選ぶことが大切になります。
また現場監督や担当者の対応力や人柄が信頼できるのかどうかも重要です。
大規模修繕工事を専門に行う会社や評判の良い会社、トラブルの回避術を熟知している会社、アフターケアが充実している会社など、「大手だから大丈夫」「知り合いからおすすめされたから大丈夫!」と下調べをせずに安易に業者を決めてしまうのは大変危険ですので絶対にやめましょう。
現場管理の徹底
マンション修繕工事後のトラブルを防ぐためには管理組合による現場管理も大切です。
外壁塗装や屋上の防水工事など、一つの工程が終わる度に仕上がり具合をチェックしに行き手抜き工事していないかどうか、実際に足を運んで確かめに行くこともトラブル回避には有効的です。
その為、マンション全体の修繕工事が終わってからはじめてチェックするというようなことは絶対に避けましょう。
他にも工事の進捗に合わせて「中間検査」を実施したり、足場の解体を行うタイミングで予定通りの工事が行われているか、不具合がないかなどの最終チェック「完成検査」を実施するようにしてください。
保証内容やアフターサービスは要確認
修繕工事完了後のトラブルのほとんどは施工会社による施工不良ですので、不具合が発生した際には速やかに施工会社に連絡し厳正な対処を依頼しましょう。
その為には、事前に施工会社の保証内容やアフターサービスについて重点的に確認しておくことが大切です。
一般的な施工会社は数年ごとに定期点検を実施してくれたり、大規模修繕工事に起因するトラブルに対し無償で対応してもらうことができます。
また、万が一の漏水に備え「瑕疵保険」という保険も存在していますが、これは施工会社側が加入する保険ですので、瑕疵保険の加入の有無なども確認しておくと安心です。
瑕疵保険に加入していれば、大規模修繕工事完成後に発生した不良箇所の補修費用は保険金から支払われるため、管理会社が負担しなくて済みます。
トラブルが発生しにくい修繕工事を意識して、抜かりない対策を!
今回はマンションの大規模修繕工事完了後に発生するトラブルとその原因、対策方法についてご紹介しました。
大規模修繕工事においてトラブルはつきものですが、そのリスクを減らすためには実績や評判をチェックして慎重な施工会社選びをすること、工事期間中にも随時、進捗状況をチェックしに行くことが大切です。
そして、万が一修繕工事後にトラブルが発生しても、保証内容が充実した施工会社であれば修繕積立金から切り崩すことなく無償で保証してもらえるので、保証期間やアフターサービスなどの有無は必ず確認しておきましょう!