みなさんは大規模修繕工事で良く用いられる「シーリング工事」をご存じでしょうか?
中々聞き馴染みのない方も多いかと思いますが、大規模修繕工事においてシーリング工事はとても重要な工事内容になってきます。
そこで本記事ではシーリング工事の重要性や特徴、さらには予め気を付けておきたいポイントについて解説していきます。
目次
大規模修繕工事において重要なシーリング工事ってなに?
シーリングとは英語で「封をする、捺印をする」という意味を持ち、大規模修繕工事においては隙間に詰め物をして水漏れを防いだり、目地に封をしたりするために行う工事です。
建物のシーリング工事では主にガラスやサッシなどの周りや外壁のコンクリートやタイルの目のつなぎ目からごみや風、雨水などが入ってこないようにするために行われ、より快適な建物づくりにとって欠かすことのできない工事となっています。
また、このシーリング工事は材料として用いられている合成樹脂やシリコーンの伸縮性による伸縮性の効果によって外壁のほぼ割れなどを防いでくれ、地震による建物の倒壊などのリスクを抑えることができるのです。
地震大国である日本ではこれがとても重宝されており、この理由もあってシーリング工事は大規模修繕工事において重要な工事となっているのです。
シーリング工事とコーキング工事ってなにが違うの?
シーリング工事とは別にコーキング工事と呼ばれる工事が存在し、よく何の違いがあるのかと疑問に持つ方もいらっしゃいます。
ですが実はシーリング工事とコーキング工事に大きな違いはなく、工事に用いられる材料の名称が異なるだけなのです。
シーリング工事には予め形が決まっているものを用い、コーキング材はコーキングガンという専用の押し出し機を用いて施工を行います。
どちらも行う工事の内容としては同じものであるため、もし異なる業者からこの二つの名前が出た場合には一緒の内容の工事と認識して問題ありませんが、現在はシーリング材に統一されているケースが多いです。
また、シーリング材には主に以下のような種類があります。
・シリコーン系シーリング → 耐候性、耐熱性◎、塗装性×
・変成シリコーン系 → 伸縮性、追随性◎、塗装性△
・ポリサルファイド系シーリング → 接着性◎、塗装性×
・ポリウレタン系シーリング → 痩せへの強さ、塗料との相性◎、耐候性×
・アクリル系シーリング → 痩せへの強さ×
それぞれ強みや弱みがあるため、その建物の環境や施工場所の部材によって臨機応変に合わせると良いでしょう。
大規模修繕工事においてシーリング工事はどのくらい重要?
大規模修繕工事においてシーリング工事は一件シンプルな工事に見えますが、実はとても重要かつなくてはならないものです。
パーツとパーツのつなぎ目である目地は建物の多くの場所に見受けられます。シーリング材は本来伸縮性を強みとしている素材ですが、経年劣化によりこの素材は年々硬くなってしまいその他の強みでもある気密性や防水性も失ってしまうのです。
これが最悪の場合雨漏りの原因になり、建物全体の劣化に繋がってしまう可能性もある為、大規模修繕工事の内容にシーリング工事が含まれているかはしっかりとチェックする必要があります。
大規模修繕工事におけるシーリング工事はどのような工程で行われる?
大規模修繕工事におけるシーリング工事には「打ち替え」と「打ち増し」の二つの種類が存在し、打ち替えのシーリング工事には以下の工程が必要となり、かつこれらの工程を1日で行う必要があります。
- 古くなったシーリング材の除去※打ち込み工事の場合のみ
- シーリングの接着部分の清掃
- はみ出し防止の為にマスキングテープによる養生
- プライマーを施工部に塗布
- シーリング材の充填
- ヘラを用いてならす
- マスキングテープを剥がして完了
また、比較的痛みの少ない箇所については打ち増しという補強作業を行います。打ち増しは撤去の手間が省かれる為、通常の作業工程と比べると時間短縮になりますが、あくまで延命措置でこれで完璧ではないという認識で行う必要があります。
さらにシーリングは打ち替えを行った方が素材本来の性能を最大限に確保することができます。その為、予算が確保できるのであれば打ち替えでシーリングをすべて交換したほうが効果的と言えるでしょう。
大規模修繕工事におけるシーリング工事はどのくらい費用がかかるの?
大規模修繕工事におけるシーリング工事は打ち替えか打ち増しかによって大きく費用が異なります。
<参考例>
打ち替え工事の費用 700円~1,200円/m2
打ち増し工事の費用 500円~900円/m2
シーリング材の耐用年数は大体5年~10年と言われている為、そのくらいの年月を目安に費用の確保をしておくことをおすすめします。
なお、湿気や日光などの外部からの影響を受けやすい箇所に関してはもっと耐用年数は短くなっていくと考えていて良いでしょう。
大規模修繕工事におけるシーリング工事は必要不可欠
大規模修繕工事にあけるシーリング工事は建物を長く保つうえで、なくてはならない重要な工事の一つです。
工事の方法にも種類があるのでその建物にはどの施工方法が適しているのかをしっかりと吟味する必要があります。
是非いくつかの専門業者に見積もりを依頼して後悔のない大規模修繕工事を行いましょう。